すべてのSMAPに捧ぐ 〜お盆の東京散歩4日間〜




SMAPが解散するそうだ。グノシーを見ていると、ジャニーズ側の提灯記事(ユダ木村くん擁護)と、元マネージャーの飯島さん&シン・スマップ側=バックに芸能界のドンの田辺エージェンシー社長が付いているという噂・・側のメリー&木村くん戦犯説記事(彼らがSMAP解散の犯人であると批判)記事が交互に現れて、情報合戦の凄まじさを感じざるをえない。国民的アイドルグループのファンというわけではないが、この「ペンは剣よりも強し」を具現化した泥沼の争いに、興味津々で見入ってしまうのだ。

タレントやマスコミを使って人間が戦争する、ということは昔からよくあると思う。
印象操作や代理戦争で象徴とされた彼ら(もしくはある事件)は、真実そのものやその後の歴史を左右して、今も私たちを縛り続けている。

たとえば、偶然いかれたファンに暗殺されたジョン・レノンの命日は、日本とアメリカの開戦記念日と重なる。12月8日は、ラブ&ピースを唱え続けたジョンの名曲と、「リメンバーパールハーバー」を同時に思い出す仕組みとなってしまった。(偶然にも!)これにはジョン・レノンも天国で苦笑いをするしかない。彼が命をかけた「愛と平和」のメッセージは、「戦争を忘れるな!」の号令で永遠に打ち砕かれるのだ。
8月15日、日本では終戦記念日がある。敗戦の日とは直接関係のない天皇の儀式(ラジオで玉音放送のあった日だ)と月遅れのお盆最終日が重なるのだ。この国では、亡くなった人たちの魂を見送る時期に、先の戦犯たちのことも愛をもって送り出すという仕組みとなっている。お盆休みに実家に帰った私は、日本の夏休みの儚さや哀しみについてしみじみと感じ入ってしまった。日本人の夏休みは、蝉の鳴き声とともに敗戦と生死感を味わうのにうってつけである。明るい夏は上辺だけでしかない。
ジョンの命日と開戦記念日を重ねた(かもしれない)異国よりは、私的には玉音放送とお盆と敗戦記念日を重ねた日本人のセンスのほうが好きである。ぱっと桜の花が散る景色、もしくはその潔さと儚さを信条としていた文化に、とてもよく似合っているような気がする。愛を憎しみ(もしくは金=軍需産業)で打ち消すよりは無常観を味わえ、といった具合だろうか。
うん、SMAPからは随分ずれたが、彼らも芸能界の歴史をまさに今変えつつあるのだろう。(散々変えてきたというのにまだ貢献するつもりらしい)タレントマスコミを巻き込んで代理戦争の真っ最中だ。何の・・?と考えて、やはり個人の自立なんだろうか、なんて。日本は母性社会と言われている。アメリカ型の父性社会ではないそうで、個人は自立するとますます生きづらいという国の仕組みなのだそうだ。

母性社会日本の病理 河合隼雄 ※おすすめの本です。

出世したければ個人を消せよ。木村くん(&工藤静香)の声が聞こえてきそう。今までも、これからも、日本はそんな社会なんだからさ。だからこその、お前らの大好きな大好きなお盆だろう?

ふむふむ。先ほどは日本人のセンスのほうが好きだと書いたが、何とも言えず複雑だ。河合氏は母性社会文化で育った日本人は父性型社会では生き残れない、というようなことを示唆していた。

関連して、お盆に帰省してびっくりしたことが一つある。故郷の大和市の商店街が様変わりをしていたのである。石巻の商店街が変わった時も(悲しい限りだというような)批判的な記事を書いたが、私は大型店に対抗する日本の個性豊かな商店街チームをずっと応援しているので、商店街特有の華々しいアーチ、(◯◯商店街と冠されたもの)それから商店街の歩道に続く屋根が大好きなのである。それが大和で一番の中央通り商店街のアーチと歩道の屋根が(石巻のマンガロードと同様に)取っ払われているではないか。大和市に新しい大型店が開店するのは直である。あらら、これはもう商店街死ね、ってことかな・・。それは少し言い過ぎだが、今までのような手厚い保護はしないよ、と言われているような印象は受ける。これからは、知恵を使って、自力で勝負をして、自己責任で生き残るんだぞ、と。華々しいアーチと、雨や車から守る歩道の屋根をなくして、丸裸かにされた商店街は、瀕死のまさに今、母性社会から父性社会に放り出されてしまった。そんな感じなのである。
大型店も商店街も、共存すればいいじゃないか、と父性社会論理のあなたは言うだろうか。商品を安くして、いいものを入れて、営業時間を延ばして、消費者中心の店を作れよ、と。都会なら成り立つその正論の論理も、地方や神奈川の田舎では大変なのだ。大型店のように仕入れのコストを抑えられない商店街は、多様性(個性や品の豊かさ)という美点も見られないまま一つ二つと消えていく。私も大型店は商品が限られてつまらない(でも小型店は高い・・・)ので、最近はウェブで買い物ばかりをしてしまう。今に日本のリアル店舗はコストコだけ(&買い物に行くのに車で2時間)になる、なんて極論もあるかもしれない。でなければ、コミュニティを使ったデザイナーによる販売会(領布会)か。それこそ消費者ネットワークが台頭して、土地や店舗や人件費や在庫というコストのかかる、「誰でも入れる優しい」個人商店はもはや生き残れるとは思えない。(商店街が生き残れる道もそこにかかっている。安さや営業時間は無関係だ)

SMAPの例えで言うと、もはやジャニーズを出る(かもしれない)という4人は商店街のアーチや屋根を剥がされ、丸裸にされたようなもの。彼らが消費者ネットワークのような影の販売会で客を集められるデザイナー(日本型のアイドルタレントではなくマルチタレント=もしくはアーティストの意)であるならば、おそらく、後悔するのはユダ木村くん、ということにはなるかもしれないが。でも、まさか(実力ありませんでしたとか言って)ジャニーズ事務所の追随はしないよね??



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長い前置きになりましたが、お盆に田舎の神奈川県大和市と東京散歩三昧をしてきたので、そのご報告です。

大和市で商店街が丸裸になったという話を先に書いたが、大和中央通り商店街のように失われた商店街の(入り口の)アーチは、東京では至る所にあった。アメヤ横町。巣鴨地蔵通り商店街。原宿竹下通り。東京では商店街のアーチは個性を表すに欠かせないようだ。そして、アーチと同じく失われた歩道の屋根も、東京では未だ手厚く保護されていたところがある。浅草の合羽橋商店街、あの道具店街に特化した商店街だ。また、行政に守られた屋根がなくても、まるでフランスノルマンディ地方の可愛らしいショップのように、日よけの屋根(赤や青のぐるぐる巻きの開閉式のものだ)をつけて客を雨から守っていた神保町の古本屋街。あの独特な商店街もあらためて印象に残った。何かの参考になれば幸いだ。(SMAPも頑張って!)


ということで、今日は東京散歩の写真をご紹介します。ざっくりコメント付き。疲れない程度に流し見していただければ幸いです。





大和市駅前の大通りに生息している猫。4匹くらい住んでいて、いつも帰省すると見に行くのだ。この辺りに心ある方が猫小屋を作っていたが、大型店舗開店に合わせてか? それまで大通りを飾っていた(町の方々が作った)花壇やベンチと一緒に取り払われた様子。(違ったらごめんなさい)無事生きていけますように。

4日間の東京散歩。初日は、

■お台場→銀座→丸の内仲通り→皇居一周。










大型店舗だけのお台場と、外資系ブランド店舗が並ぶハイソサエティな銀座と丸の内仲通り、屋根もアーチもありません。

それにしても暑い。お台場、特に死ぬかと思った。東京は暑い。

丸の内仲通りでは、通りをカフェ風に開放して、オリンピック中継を皆で見ていた。かっこいいなぁ。

皇居一周する前に必ずペットボトル買っておかないと、自動販売機がほぼないので要注意。途中喉が乾いて死にそうになり、喫茶店に逃避。









■2日目。日比谷公園→国会議事堂→六本木→渋谷→表参道→原宿→新宿→力尽きてダウン。

六本木から渋谷までバスを使ったがあとは歩き。22キロ程歩いた。(某ゲームのミッションしているとあっという間)
日比谷公園はポケモンGOしている人が多くて、いや、東京は今回どこにいってもすごかったので、ゲームの人気ぶりに改めて驚かされた。六本木ヒルズでは、お父さんが子供に「ほらポケモンでたよ〜」、子供「どこどこ〜」と大喜び。ドラえもん(六本木はドラえもん祭りだった)に負けていない盛況ぶりだった。






















■3日目。新宿→都庁→中野→池袋→巣鴨→上野→浅草→時間切れで終了。

中野ブロードウェイもかなり楽しかった。大型店に、個人店が集まる。個人店はさらに、レンタルボックスで、個人の収集したレア物を代理で売っている。大型店(と呼んでいいのか?)なのに、個人の多様性があり、全体でも専門性に特化している。かなり面白いというか、今地方で目指そうとしているパターンかも。中野ブロードウェイみたいにオタクの内容(専門性に特化)にできれば外資系大型店、父性社会に対抗できるのかも。

池袋、駅近にデパートがあるのに、商店街が活気付いている。サンシャイン60まで行くのに、歩かざるをえないから?こういう釣りもアリか。

巣鴨、浅草。個人商店強し。ご年配が多い街さすがです。世界に誇れる店も多いので、貫禄あるなぁ。残念ながらゆっくり見る時間なくて終了。






































■4日目。スカイツリー→両国→懐かしの岩本町→秋葉原→神田明神→神保町→足を引きずって終了。

秋葉原は巣鴨浅草と違い若者層が多いのに、個人商店強し。
日乃屋カレーを食べた某アニメの店では、2階席には入れない子たちがひっきりなしにやってきてミニスカートの(女子高生風の)制服を着た店員と交渉している。「すみません、予約はしていないんですが」「そうですか〜 何かドリンクでも注文して待っていれば、運が良ければ参加できるかも・・」困った顔をする若い客の少女。一方、上から降りてきた少女は、レジに向かう。アニメのキャラクターの何かしらが入っている包みをいくつも渡して、潔く1万円近いお金を払っている。どう見ても中学?高校生だが・・

ランチを食べたあと、「すみません、上で何をやっているんですか?」とレジの女性(青年?かっこよし男装の美女)に聞いてみた。
「はい、アニメのキャラクターとコラボしたカフェなんですよ」とにっこり。
「アニメのキャラクター・・・(会えたり買ったり?)」と想像する私。
「アニメお好きですか?」
「はい、(若い頃は好きだったのでしばし悩むも)いや、、よくわかりません」とバッサリ。
それでも、会計が終わるとレジの青年は微笑むのだ。
「また今度是非2階にも遊びに来てください」
クールスマイルに負けた。
これは少女たちも惜しげもなくお金払うわ。冒頭に書いた秘密の販売会が成功しているケースだなぁと妙に納得。浅草とは別の意味で、世界に誇れる日本の技術、文化のアニメ。やはり生き残れるだけのことはある、すごいものだ。ハードもソフトも。




















有名スポットを回った東京散歩。神保町で初めて自分へのご褒美を買った。古典の植物を探るという本。和歌に出てくる昔の植物が今でいう何の植物か、ということが書いてある。なかなか面白い。こういうものは、やはり運命の出会いだと思っているので、ウェブで買うのはもったいないなぁ、と思わざるをえない。現地で、記念として、自分のために、買うのである。













お盆の間、4日間でのべ80キロ歩いた。思えばよく歩いたものである。最後の神保町では足の裏が痛くなり、足を引きずっていたが、それでも楽しい東京散歩ができた。それにしても東京はうだるほど暑い。どこにいっても人が多い。人に酔う。私が東京をデートする若いカップルなら、この暑さで(イライラして歩くの並ぶの疲れるし)彼氏と喧嘩して別れていそうだ。少子化の原因は、東京の暑さと関係ないのか?と思わず疑うほど暑かった。

ただし、やはり上野公園で感じたお盆最終日、終戦記念日のしみじみとした思いは忘れがたい。
母性社会と馬鹿にされようと、私はこの生死感に包まれた哀しい時期が好きである。北海道と沖縄を忘れているよ、と怒られそうだが、ごめんなさい。8月15日の玉音放送を、今宵、神事の儀式に参列するように聞いてみたいと思ったものだ。

すべてのSMAPたちへ。がんばりましょう。