神々の遊ぶ庭(カムイ ミンタラ) ~人々を笑顔にする横浜大道芸~





 北海道大雪山(※注)は、アイヌ語で「神々の遊ぶ庭(カムイ ミンタラ)」と呼ばれている。最高峰の旭岳に玄関口の黒岳、いつかその美しい庭園を直に見てみたい、とずっと思っていた。

 そんな矢先に飛び込んできたニュースである。

 (※注)大雪山は北海道中央部にそびえる火山群の総称




地熱発電、国立公園で…「大雪山」開発調査へ

2月22日(金)3時3分配信 読売新聞

 北海道上川町の大雪山国立公園内で、地熱発電所の建設に向けた地表調査が今春にも始まる見込みとなった。

 秋田県の栗駒国定公園でも地表調査が進んでおり、地熱発電の開発が各地で本格化してきた。東日本大震災後の規制緩和により、国立・国定公園で開発しやすくなったことが起爆剤になっている。天候に左右されず、安価で安定的に発電できる地熱発電は、再生可能エネルギーの中核として普及が期待されている。

 大雪山国立公園内で調査が行われるのは、層雲峡温泉に近い北海道上川町の白水沢地区。26日に開かれる環境省や地元自治体、事業化を検討する総合商社・丸紅などによる協議会で、調査実施が合意に達する見通しだ。

 大震災後の規制緩和を受け、国立公園内で地熱発電事業の実施に向けた調査計画が具体化するのは初めてとなる。現場は国立公園の中の「特別地域」にあたり、新設が実現すれば、1978年に運転開始した十和田八幡平国立公園内の地熱発電所(岩手県雫石町)以来。



 

 ニュースを見て、私は少なからず動転した。いつか行くことを夢見ていた場所、まだ目にもしていない神々の庭が、こともあろうかあの丸紅の事業化の対象にされている。

 丸紅の主張は一貫していて、「儲かりますよ」と。
 
「無理やり開発することは考えていない。地熱発電所は町の振興につながるはずだ」(丸紅国内電力プロジェクト部の上垣雅裕部長代理談)

 上川町や地元経済団体の了承を得て、6月から開発に向けた地表調査に入る段取りだそうだ。

 それにしても、身勝手な話である。「自然との共生が鍵」って、原子力発電所の時は言わなかったのだろうか。原発で散々自然の環境を破壊して、犠牲になってもらっておいて、それが行き詰まれば、今度は地熱発電、またしても(原発からの)再生のために自然に犠牲になってもらいましょう、と。

 人間が生きていくためには避けられない宿命なのかもしれないが、何だか腑に落ちない。もっと、金をかけず、自然に負担をかけないエネルギー開発はあると思う。よりによってカムイミンタラとは・・


 
※詳細は下記リンクをご覧ください。
 (売電事業のために自然には多少犠牲になってもらいましょう的な記事)

 ・売電事業 掘り起こす…地熱利用 「自然との共生」課題


 それで、「いつか」行こうと思っていた北海道旅行を急きょGWに組み込んだ。旭岳から黒岳を縦走して層雲峡(問題の上川町)へと向かうコースである。
 
 ところが、出発1週間前に、大雪山の映像を見て腰を抜かしそうになった。大雪である。いや、大雪山が大雪だよ、とかいうギャグではなくて本当に普通に北海道らしい雪山である。
 5月に北海道の、しかも標高2,000km超え級の山々を縦走しようだなんて、あまりにも無謀すぎた。
 いや、違う。今年が寒すぎたのだ。ど根性でやればできる、かもしれない。たとえ無理でも、リフトとロープウェイで7合目くらいまでは行ける、はずである。が、装備がない。層雲峡のHPを目にすれば、(例年にない)強風で、リフト・ロープウェイの運転が止まったとある。GWも運転が懸念されているようだ。
 おまけに何を血迷ったか、予約を間違え、宿泊先のホテルを函館にしてしまった。(そんなことは初めてである)
 旭川空港に着いたその日の夜に、泊まるホテルが、函館の大沼プリンスホテルだと知った時、その最果ての位置をグーグルマップで見つめて、全身の力が抜けた。もうだめだ・・ こりゃいくらど根性でもどうにもならない。翌朝また旭川に向かうなんてありえないし。旅行会社に問い合わせてみたが、変更も効かないようである。

 ついに断腸の思いで、リタイアした。北海道上川町は丸紅が踏み込んだあとに向かうことになるが、仕方ない。もう少し暖かくなったら必ず行ってやろう、と思っている次第である。

 長い前振りになってしまったが、それで急きょGWの予定がポッカリと空いてしまった。
 3日バイトして、2日死んだように寝たとしても、まだ余る。
 暇だ。どうすりゃいい。世間はGWで浮かれているというのに、なんで私だけ行くところがないのだ。おシャカになった幻のチケットをじっと見つめる。やっぱり函館から旭川まで車で飛ばして、神々の庭でスキーでもすれば良かっただろうか。いや、スキーって・・


 悶々とした末に、大道芸を見に行くことにした。
 北海道と大道芸は何の関係もないが、私は大道芸が好きである。あの人々を笑顔にする無償のサービス精神、あのおのれの芸にすべてをかけるストイックな情熱、いつも見ると元気を授かるのであった。
 それで、散歩がてら、カメラを抱えて、ヨコハマ大道芸を見に出かけた。大道芸の聖地(メッカ)桜木町で、イケメンの大道芸でも見て、その精神性を学んでやろうではないか。
 待ってろよ、北海道。見てろよ、丸紅。


 ※ちなみに北海道上川町に詳しい方いらしたら、ご連絡ください。開発ネタ、地元の見所など情報大歓迎です。

 
 青空の桜木町、降り立つと直ぐに、街宣車での街頭演説が勢いよく聞こえてくる。人だかりに吸い寄せられるように向かい、人々をかいくぐって最前列で車上を見上げる。公明党の佐々木さやか事務局長が演説会をしているのである。

 いや、本物を始めて見たが、驚くほど綺麗な方だった。正直、公明党はどうでもいい。が、演説を聞いていたファン? が佐々木さやか女史との握手を求めて続々と並び始めたので、私もどさくさに紛れて列に参加した。
 握手をしてもらう代わりに、大道芸にも通じるサービス精神と(こちらは政治にかける)ストイックな情熱のその賜物の笑みをパチパチと連写させていただいた。あまりしつこく撮っているので、途中、女子が訝しげな表情でこちらを見やったが、さすがに当人及び関係者誰一人として、やめてください、だの、撮影許可が入ります、だの言うものはいない。ファンサービスといえば政治家は横綱級である。

 佐々木さん、北海道の地熱発電、どうにかならないでしょうか? どう考えても、自然との共生は無理でしょうね? 今思うと、写真を撮っている場合ではなかったかもしれない。ダメもとで頼んでみれば良かった。



明日につなぐ力 公明党

演説会のあと、握手会が始まりました

アイドルですね

ファンひとりひとりに丁寧に握手

ランドマーク



 佐々木さやか事務局長の爽やかな笑顔に心を洗われたところで、みなとみらいの日本丸方向へと向かっていく。ランドマークとクイーンズスクエアの間に、ヨコハマ大道芸の代表的なステージ、グランモール公園(ランドマーク・クイーンズイースト)があるのだった。

 11時半頃だ、グランモール公園傍に到着するとすでに賑やかしい様子が会場から溢れている。この日の出演はジャグリングの「スーパーアイドル星丸」さんと「まろ」さんと「芸人まこと」さん。

 星丸さんのステージが始まっているようだ。走って半円形のステージの前席へ。



  ※同じ会場で行われた2年前の映像 星丸さんはこんな方でした↓


 
 星丸さんのステージ。



 佐々木さやか事務局長に負けぬ笑顔で、
 
 


 子供たちとママのハートを鷲掴み。



 会場からたくさんの笑い声が溢れて。




 剣玉も真剣。



 行く人々が立ち止まって見入っている。




 星丸さんは大阪の天保山やUSWを中心に活動するパフォーマーさん。大阪、九州、福山、神奈川等、各地のコンテストで優勝し、イベントで実績を重ねている。

 ・星丸さんのウェブサイト

 
 全国で有名なプロパフォーマーさんだけあって、笑いに包まれた楽しいステージだった。

 個人的に圧巻だったのは、火の棒(トーチ)を使ったファイアジャグリング。
 えっ? 頭から湯気と黒煙出てますけど、大丈夫?! と思わずギョッとさせられた。





後ろの見物人も増えてます

 
 観客も満員御礼。

火の棒を持って会場を右から左へ駆けていく


 今度はトーチを5本にして、チャレンジ。

深呼吸中

投げました

大成功

 こちらはようつべにもあった梯子の芸。



真剣です

この続きはYouTubeをご覧下さい

 ステージが終わると、ちびっ子たちがわれ先にとダッシュで駆け寄る。


ぞろ

ぞろぞろ

ぞろぞろぞろ

本人どこ?状態に さすがスーパーアイドル

 最後に目線をいただき、一枚撮らせていただいた。

楽しいステージをありがとうございました!


 さて、星丸さんの次は、まろさん。
 まろさんはフランス、スイス、ドイツのサーカス学校で研修し、その後2年間ドイツでジャグリングを学んだ本格派。ドイツやヨーロッパの各地でショーを重ね、ヨーロッパトップレベルのショービジネス界に本格進出した初の日本人ジャグラーだという。

 まろさんのウェブサイト


 現在は日本とヨーロッパ各国でのジャグリングにダンスを融合させた新しい表現スポーツ「新ジャグリング」の指導、普及活動も行っている。



まろさん 支度中

 まろさん、少し古いかもしれないが、キンキキッズの堂本光一に似ている。いや、美形でした。ステージの方は、最初から中盤までの力の抜けた軽~い演技と、最後の5分間の本気モードのギャップが何とも面白い。

 
 写真下、軽~いジャグリングの数々。










 ここ(写真下)から最後までは、ヨーロッパを回る時によく行う内容だそうで、あちらではこの5分間の技だけで勝負しているとのこと。本人が一見の価値あり、というだけあって、それまで軽~いジャグリングとは異質。オリエンタルかつエキゾチックなステージだった。









 
 ご本人、写真を撮っている人たちに「いい写真使ってね」と言っていたのだが、あまりうまく撮れなくて申し訳ない。


まろさんも子供に大人気

最後に目線いただきました ありがとうございます!


 最後は芸人まことさん。初めは、まろさんのあとだけに、どこのおっちゃん来た?! と驚かされましたが、いやはや、芸が進むにつれてこれがめちゃくちゃイケメンに見えてきた、やはり大道芸をやっていられる方は芸によって輝くのだなぁ、シミジミ実感させられた。

 ・芸人まことさんのウェブサイト


 その芸人まことさん(芸歴15年)のステージはこちら。 ↓ 



芸人まことさん



 
 笑顔も良かった。おっちゃん→爽やかUK風イケメンに豹変中。










 観客も徐々に増えてきて、ボルテージ最高に。










 木の台に乗ってのジャグリングも大成功。



 このあと、なんとガソリン(油)を飲み始めた。




 火を噴くのだという。



 拍手を求める。

 行きますよ~



 後ろの通行人も目が釘付けに。 せ~の。




 このあと、豪快に火を噴くのだが、連写していたわけでもないのに、なぜかこの瞬間、シャッターが切れなかった。一番いいところだったんだけどね。マジで、シャッターが切れなかったんだね。一瞬今起きていることが理解できなくて、頭が真っ白になった。

 グランモール公園、大道芸のメッカ横浜。芸の神々の宿る、ここも「カムイ ミンタラ」だとしたならば、恐らく忠告されたに違いない。「お前、そこは撮るなよ」、「そこは載せるなよ」。

 きっと直に見もらえ、ということなんだろう。
 ということで、星丸さん、まろさん、芸人まことさんのスケジュールはこちらです。↓

 ・ヨコハマ大道芸2013スケジュール


 最後に、芸人まことさんは火のついたトーチを口で鎮火。





 こちらも子供がたくさん寄ってきて、大人気。



 観客が帰ったあと、ステージに頭を下げるまことさん。




 最後に一枚目線いただき、ぱちり。(かなり馬鹿にされている?)

 
 

   

 大道芸を見て笑って楽しんで、精神性を学ばせていただいて、元気を授かったあとは、ふらり横浜散歩へ。

 

ミッドスクエア横のグランモール

ランドマークから日本丸へ戻ってきた。月に一度行われる29枚の帆の上げ下ろしを行っているようで、看板にはたくさんの船員。見物人が囲んでいる。


ランドマークから日本丸前に戻ってきた

看板にたくさんの人 何やら一生懸命働いている

どうやら帆を上げているらしい

帆が上がっていく様子


 桜木町から帰ろうとして、良い天気なのでこのまま帰るのも惜しくなり、地下鉄桜木町駅から南口へ。路地の先に野毛山不動尊成田山の旗を見つけて、誘われるように向かっていく。

 野毛山不動尊は千葉県にある成田山新勝寺の別院だ。横浜成田山と呼ばれている。現在、御本堂を新しくしているそうで、御本尊は仮本堂(成田山水行堂)へ移っていて、元御本堂跡地には仮設の受付所しかないが、それでも元御本堂跡地まで石段を登って行くのだった。



路地の奥に横浜成田山が見えた

元御本堂までの石段の途中にある大日如来

七福神が並んでいる

お不動様

 
 本堂跡地は高台にあるので、そこまでの石段の道のりを登っていく。光が眩しくて気持ちいい。

この階段を上ると元本堂跡地

仮設の受付所





 野毛山不動尊の仮設受付所の前を通り過ぎて、坂道を下っていくと、直ぐに野毛坂の交差点に突き当たる。そのまま西に進むと、野毛山公園(野毛山動物)だ。

 懐かしいなぁ、子供の頃来たなぁ、写真を始めてからも訪れたなぁ。何年ぶりだろうか。

 あまりの懐かしさに、ついでに野毛山公園も見て回ることにした。



野毛坂にある標識 鹿の案内板に導かれて

野毛山公園到着
階段を上っていく

自然いっぱい 今度はフラミンゴが案内人

 
 野毛山公園の開園は1926年(大正15)、横浜公園や掃部山公園に次ぐ歴史のある公園だ。高台に位置しているため、園内からはみなとみらい21地区や横浜港が一望できる。また、公園施設内の野毛山動物園は、展示数約100種1416点(H.20.4.30)を数え、開園以来地域住民に愛され続けている。

 ちなみに、動物園は市立なので入園無料だ。つい忘れてしまって、入口でお金を払おうとしてしまった。そのせいか、GWのせいか、親子連れがいっぱい、閉園間際だったというのにすごい人出だった。とにかくガキがやたら多い。いや、小さな子供に大人気、やはり最強は動物園か。


 動物園の最後の案内人はキリン。↓




 わらわらわら。入り口辺り。





 入園口を入ったところ。この動物の形の植栽がいつもシャイニングを連想させる。(ちょっと怖い)


 



 土産所あたりでみんなが食べていた「野毛山ソフト」なるものを食べてみることにした。
 行列が出来ているだけあって、美味しい。



350円なり













 入園無料の代わりに募金箱がある。野毛山動物園募金、みんなここにお金を入れて帰っていくのだ。

 (ちなみに、このライオンの上に子供がまたがって、記念撮影をよくしている)



動物のぬいぐるみがいっぱい
子供の時上野動物園でこんなのねだったなぁ・・




 さて、閉園のアナウンスが鳴ってしまった。あっという間だったなぁ。
 動物園通りを通って、桜木町へご帰還。




 なぜか、横浜で尾道ラーメン? ふらり立ち寄ってみる。





 野毛の町では前日が大道芸のイベントだったそうだ。
 残念、こちらも見たかったものだ。





 
 元プロボクサー畑山の店だった。え? 畑山って、尾道??

 帰宅後調べると畑山の出身は青森県。なぜ青森出身の畑山が尾道ラーメンかは不明だそうだ。違和感を感じたものの、スープのダシは魚介類の味がしっかり。とろとろに煮込まれた店自慢のチャーシューも美味しかった。
 




麺は中太麺を選択


 音楽通り、尾道ラーメンの正面には手作りパンの店がある。大正5年創業のコディ・ベーカリーさんだ。シベリア(カステラであんをはさんだ菓子パン)の発祥の地ということで、人気があるのだそうだ。私はシベリアが大好きなので、お土産にひとつ買って帰ろうと思ったが、残念ながらこの日は売り切れだと言う。
 古いビートルズのLPを飾ってある店内で、ご主人がすまなそうに、

 「この時間ならいつもあるんだけどね、今日はイベントがあったらしくて」

 「ああ、大道芸・・・」

 さっきまでいたあの遊び場で、たくさんの家族連れがお昼を食べながら楽しんでいた様子を思い出して、そう口走ると、

 「大道芸は昨日!」

 野毛で大道芸といえば、昨日なのだ。横浜の大道芸といえば、野毛なのだ。ぴしゃりと言われて、反省して口ごもる。「そうでしたね・・」

 
 シベリアの替りにカレーパンを買って行くことにした。手づくりの味を売りにしているだけあって、家でお母さんが揚げたみたいな素朴なカレーパン、シベリアを食べられなかったのはかなり残念だが、こちらも美味しく頂いた。



 ・コティベーカリーのシベリアパン
 ・野毛大道芸


コティベーカリーさん その歴史は長く・・

カレーパン ちょっと焦げてるよ


 北海道に行けなくて、代わりに訪れた大道芸だが、いやはや、今日はたくさんの笑顔を見て、もうお腹がいっぱい。(本当のお腹もいっぱい)
 
 これで丸紅と対決する勇気も湧いてきました!(いや、できるのかよ)



 あの横浜のカムイ ミンタラがいつまでも続きますように。元気でありますように。
 いつまでも楽しい大道芸を見せていただきたい、と心から願うのだった。

 


 
 
 

 ※更新が遅れて申し訳ありません。今後ですが、休日に数日の旅行に行く時間が取れなくなったため、当分は日帰り旅日記とさせていただきます。北海道編での復帰もお楽しみに!